競馬中継のカメラの話
システマティックに映画を製作していくハリウッドでは、昔は特に「ジャンル」という考え方に基づいて映画をがんがん製作していました。
そのジャンルのひとつに「西部劇」があります。今日でよく使われる「アクション映画」というカテゴリーを「動きに重点を置く映画」と位置付けるなら、西部劇がアクション映画の前身と言えるでしょう。
というのも、昔は高速で動くものをカメラで捉えることに限界がありましたので、「馬の速度」に追いつくのが精一杯でした。
最近はCG技術やカメラの性能の向上により、馬の速度では飽き足らなくなり、勧善懲悪への違和感もあいまって、次第に西部劇は製作されなくなったわけです。
それはさておき競馬中継ですが、競馬にはやはりマルチビューが一番合っていると感じます。
以前から、最後の直線のカメラワークについて、「引くべき」や「アップにすべき」など、いろいろ言われていますが、やっぱり中継は自分のひいきの馬を追いかけたいものですよね。
それならマルチビューが一番!
昨年9月に、西部ドームとNTTが協力して、マルチビューによる映像配信のトライアルを行いました。
西武ドームにおけるスタジアム エンターテインメント サービスの拡充について(NTTニュースリリース)
これはあくまでトライアルですが、今後本格的になっていくことでしょう。
「視聴者はカメラを選べない」
それが当たり前でしたが、これからは自分がどのカメラで観るかを選択できる時代です。
マルチビュー+画面分割できれば、馬群全体を見ながら、自分のひいきの馬のアップと暫定1位の馬のアップを観て、さらに出馬表を写しておく、なんてことができます。
技術のさらなる進歩はまだまだこれからですね。
せっかく全世帯を地デジにさせたんだから、「クイズに参加」とかだけじゃなくて、マルチビュー中継くらいはやってもらわないと!
※西武ドームのマルチビュートライアルは、ご家庭のテレビではなく、球場内の公衆無線LANサービスを利用した、スマートデバイス向けのサービスです。